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クモ膜下出血

クモ膜下出血の原因

クモ膜下出血の主な原因は、脳内の主要血管の分岐部に発生したコブ(脳動脈瘤)が、何らかの原因で破れて出血を起こすものです(70~80%)。
脳動脈瘤ができる原因は正確には不明ですが、一般的に動脈分岐部の壁に先天的に弱い部分があり、そこに血液の流れ、高血圧や加齢による動脈硬化などが加わって発生すると考えられています。脳動脈瘤の他に脳動静脈奇形(5~10%)によるクモ膜下出血もあります。

クモ膜下出血の症状

クモ膜下出血はその多くが「突然の激しい頭痛」で発症します。 例えば、「後ろからハンマーでなぐられたような」とか、「後頭部に突然ガーンときた」というように訴えられることが多数で、通常みられるような頭の重い感じとか、慢性的なズキン、ズキンとした痛みとは異なります。
発症後、嘔吐や意識障害を伴うことも多く、クモ膜下出血の約半数が頭痛の直後か少し遅れて意識が悪くなります。
高齢の方などは、頭痛よりも吐き気による消化器の病気を疑わせるような症状を訴えて内科受診を優先するケースもありますので注意が必要です。
統計によると、約3分の1は感情興奮、労作、排便、性交などの急な血圧上昇を伴うような時、約3分の1は睡眠中に、残りの3分の1は安静時に発症しています。

クモ膜下出血の検査

クモ膜下出血の有無は、そのほとんどが脳CTやMRI検査で診断できますが、出血量の少ない軽症例や出血後何日も過ぎた場合には確定診断が難しいケースもあります。その場合には腰椎穿刺により髄液をチェックすることもあります。
クモ膜下出血が認められると、脳内の血管を調べ、出血源を探します。脳動脈瘤の場合、破裂した動脈瘤が発見しずらい事も稀にあり、その場合は時間をおいて再度脳血管を調べます。

クモ膜下出血の予後

一度破裂した脳動脈瘤は、短時間の間に再破裂することが多く、確定診断ができ次第、緊急手術をすることが最良の治療となります。しかし、クモ膜下出血は重症例が多く、治療を受ける前に命を失ったり、救命されても大きな後遺症を残し社会復帰が困難になる患者さんが多いのも事実です。

クモ膜下出血の予防

わが国では、「脳ドック」という検査システムが広く普及しています。
MRIやMRA検査を中心に、脳および脳血管の異常や脳卒中の危険因子を早期発見、早期治療し、脳疾患の発症予防につなげようというものです。脳ドックがその威力を最も発揮するのがクモ膜下出血の主因である脳動脈瘤の発見と治療です。
発見された脳動脈瘤は、その大きさや部位の所見、他の疾患の状況、ご本人はもちろんご家族との相談などにより慎重に治療方針が決定されます。
治療法として、開頭による動脈瘤クリッピング術、カテーテルとコイルによる血管内動脈瘤治療があります。治療の対象にならない脳動脈瘤は、定期的なMRA検査などを行い、動脈瘤の変化について経過観察をします。
検査装置や診断・治療技術の進歩により、脳ドックの検査精度と脳動脈瘤の治療成績は日進月歩向上しています。

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