認知症について

認知症を理解する​

認知症とは​

認知症の定義

​一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときにみられる。

 

認知症について(動画:26分55秒)

​※無断転用禁止

毎年敬老の日に合わせて総務省統計局から発表される日本の高齢者人口。​最新の発表によると2021年9月現在の65歳以上の高齢者人口は3,640万人、高齢者人口率は29.1%となりました。​超高齢社会が進むと切り離すことのできないテーマが認知症です。​

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認知症患者はどれくらい?

65歳以上の6人に1人が認知症患者​

高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計​では、2020年65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。​

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「各年齢の認知症有病率が上昇する場合」は、糖尿病(認知症の危険因子)有病率が、2012年から2060年までに20%上昇すると仮定したものです。

<内閣府「平成29年度版高齢社会白書」>

高齢化=認知症の高齢者が増える

認知症の最大要因が加齢であることから、高齢化が進むと認知症の高齢者も増えていきます。​厚労省のデータでは2025年に高齢者の5人に1人が認知症になる推計でしたが、言い換えると5人の内、4人が認知症ではない、と言えます。​

ただし、認知症でない高齢者の中には、認知症予備軍とも言える軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)の人も含まれます。

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軽度認知障害(MCI)について​

  • 正常と認知症の中間の状態​

  • 物忘れはあるが、日常生活に支障がない​

  • 年間10~30%が認知症に進行する​
    (正常な方からは年1~2%が認知症発症)​

  •  一方、正常なレベルに回復する人もいる​
    (5年後に38.5%が正常化したという報告あり)​

  •  認知症治療薬の効果はないとする研究が多い​

    • ※軽度認知障害の人の数は、2012年時点で約400万人と推計される。​

    • (MCI:Mild Cognitive Impairment)

 

認知症の疫学​

認知症を疑うきっかけとなるような変化

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最初に医療機関を受診するまでの期間

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認知症と除外すべき状態や疾患

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「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い

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​認知症の基礎疾患では67.6%の方がアルツハイマー型認知症でした

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認知症の原因疾患

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認知症の診断​

血管性認知症とは

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血管性認知症の診断

認知症の存在を示す所見、脳血管障害の存在を示す所見があり、さらに認知症と脳血管障害を合理的に結びつけることができることが基本的に必要

​(合理的に結びつけることができるとは、脳卒中と認知症出現の時間的関連、脳血管障害の場所と認知症症状の関連が説明できる場合をいう)

血管性認知症の診断がむずかしい理由

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血管性認知症の画像所見

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血管性認知症の特徴

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​予防可能な認知症

血管性認知症

【予防】

​動脈硬化の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)を早期に発見し、内科的な管理をする

原因疾患別の各疾患の経過

​血管性認知症の典型的な経過は、脳卒中後に突然発症し、再発する度に階段状に進行する。そのほかの認知症は脳の編成が潜在的にいつとはなく起こり、ゆっくり進行する。

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アルツハイマー型認知症とは

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アルツハイマー型認知症で障害される部位

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アルツハイマー型認知症の特徴

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認知症の病状​

代表的な認知症の特徴

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​認知症の症状

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認知症の中核症状① 記憶障害

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認知症の中核症状② 失語、失行

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認知症の中核症状③ 人格変化、病識の欠如

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物盗られ妄想

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​夜間の徘徊

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意欲の低下(アパシー)

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幻覚

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廃用症候群とは

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若年性認知症とは?

認知症は高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合は「若年性認知症」と診断されます。​

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若年性と高齢者の認知症はどう違うの?​

若年性認知症実態調査の「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(2017年度~2019年度調査)では、全国における18歳~64歳の若年性認知症者数は3万5,700人、人口10万人当たりだと50.9人と推計されています。​

  • 若年性認知症は発症年齢が若く、発症平均年齢は51.3歳(厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」) ​

  • 高齢者の認知症は女性に多く、若年性認知症は男性に多い​

  • 高齢者の認知症の場合はアルツハイマー型認知症が全体の約7割だが、若年性認知症の場合は血管性や、アルツハイマー以外の変性疾患の割合が多い​

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アルツハイマー型認知症においても、遺伝的な要因は大きく関係​

生活習慣や身体疾患などの後天的な環境要因が40%程度影響​

残りの約60%程度は先天的な遺伝要因によるものと指摘​

  1. アミロイドβの蓄積に直接的な影響を及ぼす遺伝子:APP,PSEN1,PSEN2​
    遺伝子に変異→アミロイドβの産生・蓄積→「家族性アルツハイマー型認知症」​

  2. アルツハイマー型認知症の発症に影響する遺伝子:「感受性遺伝子」​
    アルツハイマー型認知症の代表的な感受性遺伝子の一つが「APOE」​

    アポリポタンパクE(APOE)を持っていても発症しない人も多い​
    この遺伝子がなくてもアルツハイマー病を発症する人も多い​
    遺伝による発症あくまでひとつの可能性でしかない​

家族性アルツハイマー型認知症の特徴​

それは「発症年齢」です

アルツハイマー病は70~80歳の高齢者に発症することが多い疾患​

家族性アルツハイマー型認知症は非家族性よりも20年以上早く発症することが多く、40~50歳で症状が発現​

祖母と母親がアルツハイマー病であっても、70歳を過ぎてからの発症である場合は家族性アルツハイマー型認知症である可能性は低い​

家族性アルツハイマー型認知症が遺伝しているかどうかは、「APOE遺伝子検査」という検査で判定が可能​

APOE遺伝子検査は保険の適用外検査のため、自費で検査を受ける必要がある。検査費用は病院によってさまざまで、15,000円~25,000円程度​

検査を実施していない病院が多く、事前に問い合わせてから受診を​

 

認知症の治療

​治療方法

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アルツハイマー型認知症の判断に際して留意すべき点

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アルツハイマー型認知症の診断 神経心理検査
​HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)

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アルツハイマー型認知症の判断 画像検査

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アルツハイマー型認知症の画像所見(MRI)

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アルツハイマー型認知症の危険因子

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 認知症予防・介入・ケアに関する国際委員会​(「ランセット」)

「自分次第で改善できる認知症の9つのリスク要因」​

年代によって、そのリスク要因は分かれている。

  1. 小児期の「低学歴(11~12歳に教育が終了)」​

  2. 中年期(45~65歳)の「高血圧」「肥満」「難聴」​

  3. 高年期(65歳以上)の「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的​  孤立」「糖尿病

これらのリスク要因を、その年代のうちに一つでも多く排除するように努めることが認知症予防になる。

認知症の薬物治療(DIを参考に作成)​

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非薬物治療の種類と内容

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遠藤英俊臨床教授(聖路加国際大学)

  • WHO(世界保健機関)も『認知機能トレーニング』は有効だと指摘​

  • 同じ問題を繰り返し続けていても意味がなく、常に新しい問題やゲームに挑戦することがポイント​

  • 「マージャン」「オセロ」「囲碁」「将棋」などのゲームも推奨​

  • 一人暮らし、定年後に他人との交流がない、会話がないと言った​「社会的孤立」は絶対に避けなくてはいけない認知症のリスク要因​

  • スウェーデンの75歳以上の1203人を3年間追跡した研究​

  • 社会的接触が少ない人は認知症の発症率が約8倍に​

  • 運動も認知症予防になる。確かな効果が報告されているのが​ウオーキング、水泳、エアロビクスなどの「有酸素運動」​

  • 国内で約1000人を対象に行われた共同研究​
    認知症予防には『1日約3300歩以上の運動』『適度な会話』​『睡眠』が有効と報告​

  • 定年後も「仕事を持つ」「同窓会に出席」「趣味の集まりに参加」​「近所の人が集まる喫茶店に顔を出す」「ボランティアに参加」​

アルツハイマー病の経過

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【アルツハイマー】「アデュヘルム」しぼむ期待…​

認知症治療の新薬「アデュカヌマブ」は、日本での承認が見送りとなった。

大の理由は「費用対効果の低さ」

同薬の販売価格は投与1回で約47万円、年間で610万円。

レカネマブ(抗Aβプロトフィブリル抗体)​

レカネマブは早期アルツハイマー病(軽度認知障害軽度アルツハイマー病)を対象としたP3試験「Clarity AD」が進行中.昨年9月には米国の迅速承認制度に基づいてFDAへの段階的申請を開始。

Answers News 2022/03/22​

アルツハイマー病の新しい治療標的を発見​(悪性因子アミロイドβペプチドの分解を促進)​理化学研究所2021年11月9日​

アルツハイマー病(AD)の初期病因因子アミロイドβペプチド(Aβ)の分解酵素である「ネプリライシン」の新しい活性制御メカニズム​

高インスリン血性低血糖症治療薬の「ジアゾキシド」をADモデルマウスに投与​

ネプリライシンの活性が高まり、Aβ蓄積が減少し、認知機能の異常が回復​

有望なAD治療薬となる可能性がある​

国内外で開発の最終段階にあるアルツハイマー病治療薬

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​各社公表のパイプラインやプレスリリースをもとに作成(2022年)

アルツハイマー病とは

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